パーキンソン病とは
自らの意思に反して手足が勝手に震える、さらに動作がゆっくりになり、歩行障害や顔の表情がこわばって無表情になるという症状があるとパーキンソン病が考えられます。
パーキンソン病は、脳の黒質(中脳の一部を占めるとされる神経核)の神経細胞の変性が原因で、これによって黒質でつくられる神経伝達物質の一種、ドーパミンの量が低下してしまい、黒質からの情報伝達経路がうまく働かなくなる病気です。これによって、じっとしていても手足が震える(安静時振戦)、動作が遅い・動けない(寡動・無動)、筋肉がこわばる、前傾姿勢になりやすく転びやすい(姿勢反射障害)といった症状が現れるようになります。発症年齢は、40~80代で、なかでも60代以降に発症される方が多いです。またパーキンソン病の患者さんで遺伝歴がある人は極めて稀です。
発症率につきましては、日本人では1,000人に1人の割合で起きるとされ、決して希少な疾患ともいえません。ただ難病であることは変わりなく、この病気を完治させることは困難です。そのためパーキンソン病の治療は、症状を改善させるためのものになります。
治療について
治療の目的は、症状の改善です。そこでよく使用されるのが薬物療法で、レボドパ製剤やドパミンアゴニスト、抗コリン薬、アマンタジン、MAO-B阻害薬などです。複数の薬を併用することもあります。
また、薬物治療だけでは症状のコントロールが難しいという場合は、脳深部脳刺激療法(DBS)の手術療法が行われることがありますが、対象となる患者さんはあまり多くありません。
このほかにも、症状の進行によって思うような動きができない場合は、上記の治療と併行してリハビリテーション(リハビリ)も行います。具体的には、体力や筋力を維持していくための運動、筋肉と関節の柔軟性を維持するための運動、姿勢や歩行の改善といった内容になります。