高尿酸血症とは

高尿酸血症(痛風)のイメージ画像

高尿酸血症とは、血液中に含まれている尿酸が過多になっている状態です。発症の有無は血液検査によって判定できますが、血清尿酸血値が7.0mg/dLを超えていると高尿酸血症と診断されます。

尿酸とは、細胞の核の成分であるプリン体が分解して発生する老廃物のことです。その多くは血液中に溶けていき、腎臓へ運ばれて尿として排出されるようになります。しかし、何らかの原因で尿酸が過多になると、水分に溶けにくいという性質もあって、血液中で針状に結晶化した尿酸塩として存在していくのです。過多になればなるほど尿酸塩は増え続け、やがてこれが関節などに留まるようになると激痛を伴うことがあります。これが痛風といわれるものです。なお痛風の多くは、足の親指の付け根の痛みで発症し、高尿酸血症の患者さんの1割程度の方にみられるといわれています。ちなみに血清尿酸血値が7.0mg/dL以上の方は、いつ痛風に襲われてもおかしくない状態といえますが、痛風の症状が出なかったとしても、尿酸値が高いままであれば、痛風結節、尿路結石、腎障害、脳血管障害、心疾患など様々な合併症を発症するリスクが高くなります。

尿酸が過多になる原因には、先天的な代謝異常、造血器疾患、遺伝的に尿酸が排出しにくい体質にあるといったこともありますが、尿酸の元となるプリン体を多く含む食品(レバー類、干し椎茸、魚卵類、えび、かつお、いわしなど一部の魚介類)の過剰摂取、アルコールの多量摂取、肥満、無酸素運動のしすぎといったことで増えることもあります。そのため、高尿酸血症の患者さんは食生活を見直すなどの生活習慣の改善も必要です。

治療について

高尿酸血症の治療につきましては、主に尿酸値を下げるための治療と痛風の発作を治めるための治療があります。

尿酸値を下げる治療では、まず生活習慣の改善(食事療法、運動療法)から始めていきます。食事では、野菜、海藻、きのこ、豆類といった食品の摂取に努め、減塩も心がけます。さらにプリン体を多く含む食品は控え、お酒好きな方は節酒します。また水分を十分にとるようにし、体内にある尿酸を尿と一緒に排出するようにします(尿量が1日2000mL以上になるようする)。また運動療法も有効で、息が弾む程度の有酸素運動(1回30分程度のウォーキング 等)でも効果は期待できますが、日常生活に取り入れるようにしてください。運動メニューに関しては、一度医師に相談するようにしてください。さらにこれらに併行して、尿酸値を下げる治療薬(尿酸の生成を減らす効果がある薬、尿酸の排出を増やす薬)も服用していきます。

また痛風の発作を抑える治療に関しては薬物療法になります。この場合、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、ステロイド、コルヒチンなどが使用されます。治療によって、痛みや腫れなどが治まってきたら尿酸値を下げる治療が行われます。